狭山茶は『色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でトドメさす~♪』

ともうたわれる、日本三大銘茶の一つです。

味の特徴

 

狭山茶は、お茶の栽培が産業として成り立つ北限のひとつに位置する寒冷地のお茶です。

厳しい冬を越えるため、葉肉があつく、味、色、香り、成分量のどれもが相対的に強いのが一番の特徴です。

 

栽培される主な品種は『やぶきた』『さやまかおり』

『やぶきた』は日本のお茶の75%程度を占める一般品種ですが、狭山の『やぶきた』はこの土地でしか育たない独特の深みを持っています。

重ねて、茶葉の形よりも味を追求してきた歴史があることから、あまみ・うまみの強さには定評があります。

また、狭山の地では濃厚で独特な香り・あまみを引き出す、『狭山火入れ(さやまびいれ)※』という仕上げ方法を伝統的にとっており、それが狭山茶の特徴の一つとなっています。

狭山火入れ

火入れとは、「加工の仕上げ段階で熱を加え、乾燥を十分に行って貯蔵性を高めるとともに、

加熱香気を生成させて味や香りを向上させる工程」です(出典:埼玉県HP)。

高温で「火入れ」することで独特の強い「火入れ香」が出て、淹れた後のお茶の色が澄んだ黄金色となります。狭山火入れは江戸時代に狭山茶が再興された際、村野盛政らによって狭山茶独特の加工技法に昇華され、広められました。

産地の特徴

 

埼玉県西武に位置する狭山丘陵(現在の入間市、狭山市、所沢市)が、狭山茶生産の中心です。

狭山茶は秩父や東京西部でも栽培されており、特に東京西部で作られる狭山茶は東京狭山茶と呼ばれます。

そんな狭山茶の産地では古くから自前主義が強く、各農家が加工機械までを所有し、栽培から加工、販売までを担うことが多かったのもその特徴です。

農家によってお茶の味にも特徴があり、同じ狭山茶の中でもそれぞれのお茶の違いを楽しむことができます。

また、元々は被覆栽培による抹茶、玉露の栽培は少なかったのですが、近年は抹茶や玉露茶、和紅茶、お茶のアイスやペットボトルの狭山茶の販売など、様々な挑戦を続けているのも狭山茶産地の特筆すべき部分でしょう。

『都心からも最も近いお茶どころ』である狭山の茶どころは、今なお新たな挑戦を続け、お茶の普及に努めているのです。

収穫の特徴

 

狭山茶は、通常5月の上旬に一番茶の収穫が行われ、6月に二番茶の収穫を向かえます。

寒冷地であるため、多産地よりも茶摘みの開始時期が遅く、収穫も二番茶までとなることが通例で、日本三大銘茶の産地ではありながら畑の面積は全国で7位、生産量では12位(H29年度)と、希少価値の高い高品質な日本茶として扱われています。

​狭山茶の歴史

 

※狭山茶の歴史には諸説あります

狭山茶の起こりは鎌倉時代中国からお茶の種を持ち帰った慈光大師 円仁が、その種をお寺の境内や畑に植えたことがはじまりとされています。

室町時代には武藏河越(現在の川越)の地や、狭山丘陵の有力寺院を中心に積極的に日本茶の栽培が行われ、文献上も河越茶※1慈光茶※2が当時の銘茶として取り上げられていましたが、戦国時代に一度狭山丘陵でのお茶の栽培は衰退してしまします。

その後江戸時代後期の1800年ごろ、吉川温恭(よしかわ よしずみ)・村野盛政(むらの もりまさ)・指田半右衛門(さしだ はんえもん)らが、京の永谷宗円(ながたに そうえん)の考案した『蒸し製煎茶法』を取り入れ、現在の狭山茶に繋がるお茶づくりを再興します※3

吉川・村野・指田らは蒸し製煎茶に加え、狭山火入れ・手もみ茶製法も確立し、狭山茶の復興と普及に大いに尽力したのです。

そして江戸時代の狭山茶は当時の茶商『山本山』5代目の協力もあり、江戸の街に出荷されて高く評価され、さらに横浜港が開けるといち早く海外にも輸出されました。

こうして鎌倉時代に端を発する狭山茶は、江戸時代の先人たちの努力すえ、現代までその伝統と味を受け継ぎ、お茶を愛する多くの人々に今なお楽しまれているのです。

狭山会社がアメリカで

販売した茶のラベル。

​引用「ALITホームページ」より

河越茶の名称には、この当時の武藏河越のお茶を河越茶と呼ぶもの、江戸時代、お茶の栽培の盛んであった武藏国狭山丘陵が河越藩の領地だったことから河越茶と呼ぶものなど諸説あります。いずれにしても、河越茶は現在の狭山茶の起源の1つと言われています。

※1:河越茶

室町時代に慈光寺で栽培され、狭山茶の起源の1つと言われています。慈光茶は、戦国時代に途絶えたとされていまいたが、埼玉県主導でその復興プロジェクトが行われています。

※2:慈光茶

天保3年(1832) 、入間市の出雲祝神社に、新たな茶づくりを確立した狭山茶業復興の記念として建碑されました。我々ささら屋は、この出雲祝神社のすぐ近くで、古くより茶業を営んでいます。

※3:狭山茶再興を記念する『重闢茶場碑(かさねてひらくちゃじょうのひ)』