お茶の成分は健康効果の宝庫 〜テアニン・カテキン・ポリサッカライドの効能〜

最終更新: 5月7日



数多くの成分が含まれているお茶。お茶に含まれる成分として、テアニンやカテキンといった名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。また、最近ではポリサッカライドという成分も注目を集めています。

こうした成分は、私たちにとって嬉しい、数々の健康効果が期待できるということが明らかになっているのです。そこで今回は、お茶に含まれる成分の健康効果についてご紹介していきたいと思います。




1. テアニンの特徴と健康効果

一つ目にご紹介するお茶の成分が、テアニンです。テアニンは、1950年に日本人研究者が玉露から発見したアミノ酸の一種で、お茶特有の成分として知られます。


お茶の旨みと甘みをもたらすテアニン

お茶の味は、渋味・苦味・うま味・甘味という4つの味要素のバランスで決まります。お茶には、それぞれの味要素をもたらす成分が含まれており、テアニンはうま味・甘味をもたらす成分です。

お茶には、他にもグルタミン酸・アルギニンなど多くのアミノ酸が含まれていますが、テアニンの含有量が最多。お茶に含まれるアミノ酸全体の実に約半分がテアニンです。

茶葉に含まれるテアニンは、茶の樹の根で作られ、春先に根から新芽へと移動します。そして、生成されたテアニンは日光に当たるとカテキンに変化することがわかっています。

そのため、茶葉に日光を当てずに栽培する「被覆栽培」を行う玉露・かぶせ茶・てん茶(抹茶の原料)は、テアニンの含有量が多めです。

煎茶においては、若い芽を摘み採る一番茶に多く含まれています。

茶葉においてテアニンの次に多く含まれるアミノ酸が、グルタミン酸やアルギニンです。グルタミン酸は、うま味成分の代表格として知られ、お茶に強いうま味をもたらします。アルギニンは、血管拡張作用や体内のアンモニアを排出する作用があると言われ、体の免疫能を高めることが明らかになっています。

・参考:味の素「アミノ酸大百科 アミノ酸を楽しく学ぼう!」



リラックス効果が期待できるテアニン

心が落ち着いた状態にある時、人間の脳からはα波と呼ばれる脳波が発生します。テアニンを摂取すると、このα波が出やすくなるという研究結果が示されました。つまり、テアニンはリラックス効果をもたらすと考えられるのです。

また、テアニンには、カフェインの持つ興奮作用や覚醒作用を穏やかにする働きがあります。これにより、仕事や学習をする際の集中力や正確性のアップが期待できるのです。

・参考:太陽化学株式会社「テアニンの学術データ」

テアニンとカフェインを合わせて摂取できるお茶は、まさに一石二鳥の飲み物と言えますね。


2. カテキンの特徴と健康効果

二つ目にご紹介する成分がカテキンです。カテキンは、お茶に含まれるポリフェノールの一種。これもお茶特有の成分として知られています。


お茶の渋みをもたらすカテキン

カテキンもお茶の味を左右する成分の一つであり、渋味と苦味をもたらします。一般的に「渋味・苦味」と聞くとマイナスイメージを抱きがちですが、美味しいお茶には、適度な渋味・苦味が不可欠です。

お茶に含まれるカテキンとしては、主に次の4種類が知られています。

l エピカテキン(EC)

l エピガロカテキン(EGC)

l エピカテキンガレート(ECg)

l エピガロカテキンガレート(EGCg)

中でも含有量が多いのは、4つ目のエピガロカテキンガレート(EGCg)です。EGCgは、お茶の全カテキン量のうち約半分を占めています。

EC・EGCは遊離型カテキンに分類され、穏やかな苦味をもたらします。エステル型カテキンに分類されるECg・ECGgは、刺激の強い苦味や渋味をもたらす成分です。


先ほどご紹介した通り、茶葉に含まれるテアニンが、日光に当たることでカテキンに変化することが知られています。よって、カテキンは玉露やかぶせ茶、てん茶よりも、日光をたっぷり浴びて育つ煎茶に多く含まれるのです。

煎茶の中でも、日光をより長時間浴びて育つ二番茶は、一番茶よりもカテキンの含有量が多くなります。特にEGCgの増加量が多く、二番茶の茶葉には一番茶の約1.2〜1.3倍のEGCgが含まれる、という研究結果もあるほど。このことから、二番茶は苦味があるものの、健康効果の高いお茶と言えるのです。

・参考:茶業研究報告「葉位別にみた茶葉の化学成分含量」三輪悦夫・高柳博次・中川致之, 1978年(最終閲覧日2020年5月4日)

抗酸化作用など多くの健康効果が期待できるカテキン

カテキンは、次に挙げるような数多くの健康効果が期待できるとされています。

① 抗酸化作用

② 殺菌・消毒作用

③ 抗ウイルス作用

④ 脂肪の吸収抑制作用

⑤ 消臭作用

中でも強力と言われているのが、①抗酸化作用。

私たちは、酸素を取り込んでエネルギーを作り出しています。その一方で、酸素を利用すると同時に発生する活性酸素が、細胞を酸化させ傷つけてしまうのです。これが、老化やガン、生活習慣病などの要因になります。

抗酸化作用とは、活性酸素から体の細胞を守る働きのこと。強力な抗酸化作用を持つカテキンを摂取することで、老化やガンの防止、生活習慣病予防の効果が期待できるのです。


カテキンは殺菌や抗ウイルスにも効果的?!

カテキンの健康効果として次に着目したいのが、②殺菌・消毒作用と③抗ウイルス作用です。

②殺菌・消毒作用としては、食物についている食中毒菌に対して、カテキンが有効に働くと言われています。食中毒菌は、細菌が生み出した毒素によって体に異常をもたらす「毒素型」と、細菌そのものが腸管に付着することで異常をもたらす「感染型」に大別できます。

カテキンは「毒素型」に対しては解毒作用、「感染型」に対しては細菌の細胞膜を破壊する殺菌作用を発揮する、と言われているのです。

③抗ウイルス作用は、EGCgが持つとされる作用。ウイルスの表面には「スパイクタンパク質」という突起がついており、これが人の細胞にある受容体と結合することで、細胞がウイルスに感染します。EGCgはスパイクタンパク質に直接作用し、ウイルスの働きを抑制するとされているのです。


カテキンを摂取すればメタボも予防できる?!

エステル型カテキンを摂取することで④脂肪の吸収抑制作用が働き、メタボ予防になるという説もあります。

脂肪はリパーゼという酵素によって分解されることで、初めて体内に吸収されます。ところが、エステル型カテキンはリパーゼの働きを抑制すると言われているのです。こうなると脂肪が体内に吸収されにくくなるため、結果的にメタボ予防になると考えられます。

脂分の多い食事を食べる時には、一緒に煎茶を飲むのがいいということですね。

・参考:日本カテキン学会「カテキンの効果・作用」

・参考:茶学術研究会編『知らなきゃソンするお茶のこと 10のひみつ お茶の効用を科学する(最新版)』社団法人静岡県茶業会議所, 2012

3. ポリサッカライドの健康効果

お茶に含まれる成分で、近年注目が高まっているのがポリサッカライド(多糖類)。ポリサッカライドは、秋から冬にかけて収穫される「秋冬(しゅうとう)番茶」に多く含まれています。

ポリサッカライドを摂取すると血糖値の低下につながり、糖尿病予防に効果があると言われているのです。

糖質には、「単糖類」「少糖類」「ポリサッカライド」などの種類があります。このうち単糖類は、それ以上分解することができない最小単位の糖質のこと。対するポリサッカライドは、たくさんの分子が結合した複雑な糖質のことを指します。

私たちが糖質を摂取すると、体内で単糖類に分解されます。分解によって得られる単糖類のグルコース(ブドウ糖)が、体内の主要なエネルギー源となるのです。

複雑な構造を持つポリサッカライドは体内での分解に時間がかかるため、血糖値が緩やかに上昇します。その間に、血糖値を抑えるホルモンであるインスリンが十分に分泌され、高血糖を抑えられるというわけなのです。


4. おわりに

今回は、お茶に含まれるテアニン・カテキン・ポリサッカライドの健康効果についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

ここでご紹介したお茶の成分や効果は、あくまでも一部に過ぎません。お茶には、他にも健康効果があるとされる成分がたくさん含まれています。

言わば「天然の健康ドリンク」であるお茶。ぜひ毎日の生活にお茶を取り入れて、健康的な生活を送っていきましょう。


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