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収穫時期到来!二番茶とは|新茶との違いや成分、入れ方について解説


二番茶収穫時の茶畑

「日本茶といえば新茶」というイメージが強いですが、「二番茶」という言葉を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。ささら屋のある狭山地方では、毎年6月後半ごろに二番茶の収穫時期を迎えます。



今回は、二番茶とはどういったお茶なのか、よく知られる新茶との違いや特徴について解説していきます。二番茶のおいしい淹れ方も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。



二番茶とは?新茶との違いって?


二番茶収穫時の乗用機械

二番茶とは、一番茶(新茶)の後に摘採(茶葉を摘み採ること=収穫)されるお茶のこと。新茶に続いて、そのシーズンの二番目に摘採されるお茶だから「二番茶」です。新茶やその他の番茶との違いを通して、二番茶の特徴をみていきましょう。



狭山では6月後半に収穫時期を迎える「二番茶」


新茶の後、シーズンの二番目に摘採される二番茶。新茶の摘採から50日前後を摘採時期とするのが一般的です。当然ながら、新茶の時期が早い地域ほど、二番茶の収穫時期も早くやってくることになります。



ささら屋のある狭山地方は、お茶の産地としては比較的寒冷な部類です。新茶の摘採時期は、早い年で4月下旬あたりからスタート。「夏も近づく八十八夜〜♪」でおなじみ、立春を起算日として88日目にあたる八十八夜のころから、摘採が本格化します。


新茶シーズンが5月下旬ごろまで続いた後は、畑に肥料を施したり(施肥)、害虫の駆除をおこなったりするターン。新茶摘採から40〜50日目くらいにあたる、6月後半ごろに二番茶の時期を迎えます。



この後の章で解説しますが、日本茶は「新茶が最も品質が良い」とされています。二番茶は新茶に比べてランクが下ととらえられている節があり、新茶よりもリーズナブルなのが特徴です。


新茶より品質が劣るといっても十分においしく飲めるので、「手軽に飲める家用のお茶」として楽しむのがいいかもしれませんね。


一番茶(新茶)・三番茶・秋冬番茶それぞれの違いを知ろう


「一番茶、二番茶があるなら、三番茶・四番茶もあるの?」という疑問が浮かぶかもしれません。


先に答えを言ってしまうと三番茶や四番茶も存在します。また、「秋冬(しゅうとう)番茶」と呼ばれるものもあります。それぞれのお茶の摘採時期をまとめたのが下の表です。


摘採時期の一例

​ささら屋の一例

​新茶(一番茶)

​5月上旬

​5月上旬

二番茶

6月下旬

​6月中下旬

三番茶

8月上旬

​なし

​秋冬番茶

​10月上旬

​10月中下旬

表を見るとわかるとおり、ささら屋のある狭山地方では二番茶までで終了というのが一般的です。狭山を含む寒冷な地域では、三番茶以降の摘採をおこなわないケースが多くなっています。


反対に、鹿児島をはじめとした温暖な産地では、三番茶・四番茶・秋冬番茶を含めて、年5回摘採できる地域もあります。



【ちなみに】地方ごとに異なる「番茶」


先ほどから当然のように使っている「番茶」という言葉ですが、実はいろんな意味がある、少し厄介な言葉。もちろん、今回紹介している「◯番茶」「秋冬番茶」の総称というのが1つ目の意味です。



2つ目の意味として、高品質な新茶と比べて、質の高くない自宅用のお茶全般を指す場合もあります。暮らしの中で出てくる「番茶」というワードが出てきた場合、この意味で使われているケースが多いかもしれませんね。茶葉を焙じてほうじ茶にすると、よりおいしく楽しめる場合もあります。



ほうじ茶好きの方には、一番茶の茎茶を選別して作った茎ほうじ茶『ほのか』がおすすめ!上品な味わいが食後の時間を豊かにしてくれます。



3つ目の意味は、地方ごとに異なります。「何それ?」という感じがするかもしれませんが、日本各地で「番茶」と呼ばれる地域独自のお茶が受け継がれているのです。有名なのは京都の「京番茶」、岡山の「美作(みまさか)番茶」、徳島の「阿波番茶」など。


日本全国の特徴的な番茶については、今後別の記事で紹介する予定なのでお楽しみに!



二番茶はカテキンが豊富!成分の特徴

ささら屋のお番茶

次に、二番茶の中に含まれる成分について解説していきます。二番茶の成分において特徴的なのが、カテキン含有量の多さです。


二番茶が育つ5月下旬〜6月中旬は、夏至に向けて日がどんどん長くなる時期。茶葉は初夏の日差しをたっぷり浴びて育ちます。


茶葉が日光を浴びると、中に含まれるテアニンというアミノ酸の一種がカテキンに変化します。日光に浴びる期間が長いほど変化が進むため、二番茶は新茶よりもカテキンの含有量が多くなる傾向にあるといわれているのです。



一方、テアニン含有量は新茶に軍配が上がります。テアニンは日本茶の旨み成分、カテキンは渋みや苦みの成分。つまり、二番茶は新茶に比べて旨みが抑えめで、渋みや苦みを感じられるすっきりとした味わいになるのです。



二番茶に多く含まれるカテキンは、多くの健康効果が期待できる成分でもあります。健康食品や消臭剤の成分としても使われているため、一度は名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。カテキンには、主に次の5つの作用があるとされています。


  1. 抗酸化作用

  2. 殺菌・消毒作用

  3. 抗ウイルス作用

  4. 脂肪の吸収抑制作用

  5. 消臭作用


1.抗酸化作用によって、老化防止やがん・生活習慣の予防の効果が期待できるとされます。また、2.3.の効果により、風邪や感染症の予防にもつながると期待されるのです。



カテキンをはじめとした、お茶に含まれる成分の健康効果については、こちらの記事で詳しく紹介しています!




さまざまな健康効果が期待できるカテキンを多く含む二番茶は、手軽に飲める「健康飲料」といってもいいかもしれません。



ちなみに、ささら屋ではカテキン豊富な二番茶を使った入浴剤を販売しています。カテキンの抗酸化作用・殺菌作用や、ビタミンCによる美肌効果など、お肌に嬉しい効果が期待できる天然成分の入浴剤です。



二番茶のおいしい入れ方を紹介

二番茶の美味しい淹れ方

普段使いのお茶である二番茶ですが、せっかくならおいしく淹れたいものですよね。最後に二番茶の魅力を最大限に引き出す、おいしい淹れ方を紹介します。


ちなみに、お茶を“いれる”は「淹れる」と書くのが一般的です。ささら屋ではその慣習に沿って、「入れ方」ではなく「淹れ方」という表記を使用しています。



カテキンたっぷりの二番茶は高温でさっぱりと!


二番茶の特徴である、カテキン由来のさわやかな渋みや苦みを感じられるよう、高温・短時間で淹れるのがおすすめです。淹れ方は以下のとおりです。



■二番茶のおいしい淹れ方

① 標準サイズの急須に5g程度の茶葉を入れる

② 沸騰したお湯を250〜300ml注ぎ、15秒程度待つ

③ 用意した茶碗に回し注ぐ(A→B→C→B→A→B…と順番に少しずつ注ぐ)



抽出時間を長くしすぎると、カテキンが過剰に抽出され、渋みの強いお茶になってしまいます。お湯を注いだら、ほぼ待たずに注ぎ始めるイメージでいいかもしれません。



ここで紹介したのは、あくまでも淹れ方の一例です。もっと渋みを引き立てたいなら、抽出時間を30秒程度に長くしてみるといいでしょう。お湯の温度を少し下げて70〜80℃で淹れると、渋みや苦味を抑えてさっぱりと楽しめます。


自分の好みや飲むタイミングによって、淹れ方を調整すれば、二番茶をさらにおいしく楽しむことができますよ!



まとめ


新茶(一番茶)の後に摘採される「二番茶」。狭山地方では毎年6月後半ごろにシーズンを迎えます。日光をたっぷり浴びて育った二番茶は、新茶に比べてカテキンが豊富なすっきりとした味わいが特徴です。


今度見かける機会があったら、普段使いのお茶として暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?



ささら屋も二番茶シーズンを迎える中、先に摘採した2023年の新茶がいよいよ仕上がりました。それぞれの茶葉の魅力を最大限に引き出した、狭山茶の新茶をぜひ飲んでみてください!





【参考文献】

  • NPO法人日本茶インストラクター協会製作・監修『日本茶インストラクター講座 第1巻』2020年

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